演奏会をやる上で必要なタスク(練習編)

いくつかの記事でも、プロフィールでも触れていますが、私は「N会」というマンドリン団体の主宰をしております。

「N会」と書いて、「にっと会」と読みます。

 

2014年に旗揚げをし、ここまで4回ほど定期演奏会を催してきました。

ある程度経験を重ね、今でこそ比較的良い形で運営ができていますが、うまくいかなかった部分も多くありました。

そのあたりをまとめ、マンドリンの演奏会をやる上でで必要だと思ったことをまとめていこうと思います。

 

今日はその練習編です。

 

(例によって私の経験に基づく考えですので、これらが絶対というわけではありません)

 

 

演奏会企画~練習開始までのタスク

 

まずは、演奏会を企画し、練習開始までに行うことを挙げていきます。

 

演奏会規模や方針の想定

毎年演奏会を行うような団体や、方針も一貫している団体については、改めて議論する必要はないかと思います。

逆に、例年と違うことをやりたい団体や、N会のような少しひねくれている団体、もちろん初めて演奏会を行う団体もそうですが、

  • どういった演奏会にしたいのか(主目的)
  • どの程度奏者を集めたいのか
  • どの程度お客様を呼びたいのか

といったことを最初に決めておくことをおすすめします。

ここできちんと目的や方針を決めておくことで、演奏会までの間に何かトラブルや不都合があっても、方針や目的に即した判断ができます。

 

また、このあとのホール確保の話にも繋がりますので、早い段階で想定奏者数と想定客数を検討しておくことも、合わせておすすめします。

 

ホール確保

最初の難関です。

ホールは簡単には取れません。多くの方がご存知かと思います。

どれだけ前調査を行っても、当日のホール抽選の結果如何で水の泡になります。

 

本番の日程が決まらないと、どうにも演奏会へ向けた本格的なスタートが切れないので、こればっかりは頑張ってください。

最低限、開催予定地近郊のホールの、

  • ホール抽選日はいつなのか
  • ステージの広さ、客席数
  • 利用料金
  • アクセス

などは調査し、まとめておくべきだと思います。

 

多くのホールが毎月1日午前中に抽選、とかだと思うので、(社会人だと難しいかもしれませんが)協力して抽選に行けるのがいいですね。

 

選曲

これは演奏会の肝となる部分です。

団体の方針や目的、在り方などを見せつける要素が選曲だと思っています。

団体ごとに決め方などがあるかと思いますので、参加者が納得する形で選曲を行いましょう。

当たり前ですが、曲が決まらなければ練習は開始できません。

 

楽譜購入・準備

選曲が決まったら、楽譜の準備や購入が必要です。

誰が準備するかは、団体ごとにやり方が違うかと思いますが、なるべく早めにすべて用意しましょう。

楽譜の準備が早い団体は安心感があります。

 

ちなみに、主宰の私がその辺ルーズなため、楽譜の手配が遅れ、本番2週間前に練習を開始した曲がありました。(交響的前奏曲

今は、楽譜関連に担当者を数名据え、担当を中心に準備をお願いしています。

 

 

練習日設定

練習日を決める上で、

  • アンケートなどを取り、参加できそうな人が多い日を練習日にする
  • あらかじめ適当に練習日を決めちゃう

の大まかに2通りの決め方があると思います。

個人的には、後者をものすごくおすすめします。

 

前者の場合、定期的に日程の調整の連絡をしたり、ギリギリになって練習場所を探したりする必要があります。

あと、よくあるのが、この日は◯の人が多かったのに、結局あんまり人がいないじゃん、というパターンです。

アンケートへ回答するタイミングと実際に練習日を決めるタイミングにラグがあればあるほど、そういったことが起こる気がします。

 

それよりも、後者のように、この日とこの日!と練習日程を決め打ちして提示してしまう方が、結果的に練習日の予定を空けてくれる人が多いように感じます。

N会に至っては、初回練習前の段階で、本番までの練習スケジュールをすべて決めてしまっています。

(もちろん、練習場所確保やその他の事情により、多少ずらしたりすることもありますが)

 

先に決まっている予定に対してあとからブッキングさせるようなスケジューリングがしづらいという日本人的なアレもあります。

練習場所確保の都合などもあるかと思いますので、絶対にというわけではないですが、何にしても直近2ヶ月くらいの練習日程は、早めに決めておくのが好ましいと思います。

 

参加メンバーの募集

いつかも書きましたが、人は宝です。

奏者が満足に集まらないと、目指す音楽にたどり着けない場合があります。

 

ここまでのことが決まっていて、奏者も満足に集まっていればいいですが、

中には「今回は参加しません」というメンバーがいたり、気づくと音信不通なメンバーがいたり、ちょっとそうもいかないことも多いです。

 

既存メンバーがいる団体であれば、改めて参加の意思確認を行いましょう。

その上で、早めにメンバー募集のお知らせを各地に行うのがいいと思います。

 

特に、パートに偏りがある場合は、このタイミングで把握しておき、重点的に募集をかけられるとより良いでしょう。

 

会計案作成

気が早いようですが、ここまでが決まった段階で概算の会計案を作ると良いです。

ざっくりとで構いません。

  • ホール代(予約時に確定)
  • 楽譜代(購入時に確定)
  • 練習場所代概算(練習頻度 × 施設代平均 で概算)
  • フライヤー、チケット制作費(利用する会社で概算)
  • 挟み込み用フライヤー郵送費(付近の演奏会を行う団体数 × 郵送費)
  • パンフレット、アンケート制作費 (利用する会社で概算)
  • 衣装代(予定がある場合、利用する会社で概算)
  • ホール付帯設備費(利用案内などを元に概算or問い合わせ)
  • 当日スタッフ謝礼金
  • 賛助出演費(予定がある場合)
  • レンタル楽器代(予定がある場合、単価×練習回数 + 本番分)
  • 予備費

くらいの項目が挙げられればこの時点では十分だと思います。

これらの合計を、参加予定人数で割り、ざっくりと1人あたりの演奏会費をあらかじめ計算しておくことをおすすめします。

 

なお、この中で、下線を引いた項目については、団体の方針ややりかたによって大きく値段の幅が出るところになります。

(凝れば凝るほど高くなりますし、ケチろうと思えば安くできる)

会計案を作る段階で、運営などに方針を確認しておいたほうが良いでしょう。

 

 

練習開始~演奏会までのタスク

練習場所確保(都度)

練習に先立って、まずは練習場所を確保することが必要条件です。

「練習場所が確保できなかったので今週はお休みです」というのはなんとも興ざめです。

練習場所確保を行う担当者を据え、その担当者と運営あたりが中心となって、練習場所を確保できるようにしましょう。

 

あんまり教えたくない情報ですが、

練馬区の公共施設は、割とどの団体でも団体登録可能で、1ヶ月前くらいでも使える施設が空いていることが多いです。

複数の自治体の団体登録をしておくと、練習場所の選択肢が増えます。

 

練習場所確保は、団体運営の土台となる部分です。

ここが揺らぐと団体の安定運営は崩れます。

予定通りに練習ができるよう、最善を尽くしましょう。

 

練習の出欠確認(月数回~毎週)

いくつかの団体に参加し、その団体ごとに異なりますが、多くの団体で練習の出欠確認を取ります。

毎週だったり毎月だったり、練習回数が少ない団体は一気に取ったりしていました。

 

練習に参加する上で、その日に誰がいるのかという情報は必要だと考えます。

確かに、それを知るのが前日でも当日でも、さほど音楽内容には影響しません。

ですが、それでもやはり「明日、練習空間に誰がいるのかを分かっておきたい」を知り、心の準備をしておきたいと思う人が多いはずです。

 

どういった形でもいいと思いますが、”その日の練習に誰が来るのかがはっきりとわかる”ような出欠確認を取ることが必要です。

(個人的には練習ごとに、1週間前くらいに確認を取ることをおすすめ)

 

 

合宿(行う場合)

合宿を行う場合は、それに向けてのタスクがグッと増えます。

  • 宿の手配
  • 参加人数の確認
  • 移動手段の確認
  • 合宿費計算・徴収
  • スケジュール

など。

特に宿の手配は早めから動く必要がありそうです。

 

その他、こちらもノウハウがいろいろ必要そうですが、例年合宿係に仕事を丸投げしているので、私自身はよくわからず…

知ったらまた書きます。

 

 

広報活動(なる早~本番当日まで)

人は宝です。

これは、奏者だけでなく、ご来場いただくお客様にも言えることです。

 

10年くらいマンドリンをやっていて、最近思うのは、「お客様は多ければ多いほど楽しい」ということです。

これ故、やはり広報活動には力を入れるべきだと思います。

 

一言で広報と言っても、その手段は多岐にわたるので、今日はあくまでタスクとしていくつか挙げます

 

チラシ作成・配布

これはやったほうが良いです。演奏会の視覚的な看板を担います。

飛び抜けて凝っていたりする必要はありません。

演奏会の趣旨と曲目がわかるようなデザインであれば十分です。

曲目などが決まった段階で着手してもいいでしょう。

なるべく早く、多くの人に演奏会を知ってもらうためにも、このプロセスは必要です。

 

Web上での広報(SNSを一部含む)

今の御時世、基本的に情報はインターネットで拾えるべきです。

主催の公式情報を、HPやブログなどで発信しましょう。

 

個人的には、公式情報がSNSだけでは少し弱い気がしています。

Twitterの情報は、Twitterをやっていない人から見ると、確かに情報は拾えますが、あくまで頑張って拾えるというだけです。

FBやInstagramなども同様で、やっていない人からすると、情報として見づらいです。

 

立派なHPを構えろというわけではありません。

簡易的なブログのようなものでも十分だと思いますので、

ググったら出てくる程度のWeb上で確認できるサイトを用意しておくのがベターかと思います。

 

SNSでの情報発信

今のはあくまでWeb上での広報についてです。

こちらは逆に、知り合い同士のつながりがメインの、個人発信の広報です。

誰かが出演するから聞きに行く、というプロセスは非常に自然です。

個々人が積極的に演奏会を宣伝することも、とても効果的だと思います。

 

チケットの制作・配布

こちらは絶対ではありませんが、余力があれば作ったほうがいいでしょう。

 

 

広報活動については、まだまだ議論の余地があると思います。

少なくとも「お客様を多く呼ぶ努力」は無駄じゃないと考えております。

 

なお、このあたりの活動に際して、お金がかかる部分が多くあります。

どの程度の予算感かを、会計担当などと連携・確認を取りながら注文などしましょう。

 

 

参加者確定(本番2ヶ月前まで)

実は結構本番近くまで決まっていないことが多いです。

参加するか保留にする方も多く、ただあまり決断を先延ばしにしていても困りますので、明確な意思確認を行う必要があります。

 

 

パンフレット・アンケート制作(本番2週間前まで)

パンフレットは、演奏会にご来場いただいた皆様に、形として残るものになります。

どの程度ここに力を入れるかor最低限のもので済ませるかは、団体の方針によるところだとは思います。

 

ありがちなのが、「原稿が集まらなくて入稿できない!」というやつです。

 

おおよそ、一番安い印刷コースだと、入稿後10~15営業日で完成、というところが多い気がします。

この営業日というのがポイントで、例えばお盆休みや正月休み、GWなどを挟むと、完成日がグッと遅くなります。

計画的に入稿できるようにしましょう。

ちなみに、大学2年の頃から、ほぼ毎年パンフレットを作っていますが、未だに余裕を持った入稿をできたことがありません。

 

また、アンケートも忘れずに、余裕を持って準備できるようにしましょう。

 

衣装製作(必要な場合、本番2週間前まで)

N会のように、毎度演奏会用のTシャツを作る団体は、そこまで多くはないと思います。

こちらも注文してから完成までに日数がかかるものです。

計画的に注文できるようにしましょう。

 

 

演奏会費計算・徴収(本番1ヶ月前頃)

ここまで書いたところで、ようやく会計がまとまってくるかと思います。

少なくとも、1ヶ月前には、ホール打ち合わせを済ませ、参加人数も確定し、残りの練習場所なども決まっているかと思います。

これらを元に、改めて以下を計算します。

  • ホール使用料
  • 楽譜代
  • 練習場所代
  • フライヤー、チケット制作費
  • 挟み込み用フライヤー郵送費
  • パンフレット、アンケート制作費
  • 衣装代(予定がある場合)
  • ホール付帯設備費
  • 当日スタッフ謝礼金
  • 賛助出演費
  • レンタル楽器代
  • 予備費

 

しっかりと会計案を作り、会計担当が広報担当などと連携を取っていれば、会計案から大幅にずれることは無いはずです。

会計の腕の見せどころです。

 

 

打ち上げ準備(本番2ヶ月前~)

打ち上がるまでが演奏会です。

逆に、満足に打ち上がれなかったりすると、演奏会の満足度が半減したりします。

(もちろん打ち上げ重要派ではない方もいらっしゃるかとは思いますが)

 

具体的なタスクとしては、

  • 宿or居酒屋の手配
  • 参加人数の確認
  • お酒や食べ物の調達(宿泊の場合)
  • 会費計算・徴収

といったところかと思います。

 

打ち上げの成功は演奏会が無事終わるための重要なプロセスです。

計画的に準備をできるようにしましょう。

 

 

演奏会当日のタスクとそのための準備

舞台進行表、座席表、必要なものの準備、そもそも何が必要なの?

といった、本番当日を想定したタスクや準備については、また明日書きます。

 

 

一旦まとめ

練習編ということで、本番に至るまでに必要なものをざっと書きました。

当然ですが、本番の時間より練習の期間が長いわけですから、タスクというものは多いです。

結構書いたつもりですが、まだまだ漏れがあるかもしれません。

 

もちろん、これらが完璧に行われないと演奏会が失敗する、なんていうことはありません。

あくまで、こういったことをこなしておくと、参加者が安心して参加し、満足感が得られる、というところがミソです。

 

そして、これらすべてを1人で行うことはできません。

多かれ少なかれ、複数人で協力・連携しながら進めていくものになります。

 

第N会定期演奏会の際は、「自分中心の自分演奏会」と息巻いていたため、デザイン以外はほぼすべて私がこなしました。

N+1回くらいまではその調子でしたが、流石に無理みがあったので、ここ数回は素敵なメンバーにいろいろ作業していただいております。

 

「自分演奏会」を経験したからこそわかりますが、演奏会の成功に、多くの協力者は必須です。

団体を運営してらっしゃる方だけでなく、その他の参加者につきましても、積極的に運営側のお手伝いなどしていただけると、いい感じに運営が回ると思います。

ぜひ、よしなにご対応くださいませ。

 

 

ちなみに、最終的にはですが、

ルフィのように

「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ」

とかになりたいですね、私も。